赤穂の家(モルタルの家)
兵庫県赤穂市
2019年3月
緑豊かな山間部に自然に馴染んでいくモルタルの家
この家が建つ赤穂市郊外は、豊かな自然が広がる山間の住宅地である。ログハウス調の別荘も散見されるこの地で、依頼主である30代の夫婦からの要望は、景観を損ねずに、山間に馴染む「モルタルの塊のような家」をというもの。コンクリート打ち放しに比べて、豊かな風合いや表情を持つモルタルという素材を、最大限に活かした住まいづくりが求められた。
内部空間では、家の中庭から隣地の雑木林へと続いていく緑を眺めながら、食事の時間を楽しむことを想定して、コの字型の平面プランの中央に、幅3メートルのキッチンカウンターを造作した。四季折々の移ろいを感じながらの食事は、この敷地から享受できる最大の利点であろう。また、中庭に面した木製建具を開け放ち、コンクリートの縁側より、左官仕上げの片持ち階段(鉄製下地)から屋上テラスに上がり、山間の景観を堪能することもできるようにした。
内外装ともに多用したモルタルは、色ムラがあり、表情豊かな素材である。その風合いを活かすため、画一的な新建材の採用は控え、家具建具はラワン合板、階段材はアピトン合板、外部手摺は溶融亜鉛メッキ、コンクリートなど、下地材として多く使われる材を選んだ。これらは本来、下地に使われることが多く、汎用性の高い材料である。これにより、結果として、高価な材料に頼るのではなく、身近な材料を上手に組み合わせることに成功し、コストダウンにつながった。
豊かな自然が広がる山間の住宅地という敷地条件と、依頼主からの要望を真正面から紐解くことで導き出された、素直な住宅に仕上がった。周囲に馴染む外観、永続的に修繕可能な汎用性の高い素材によって、この地につつましくも長く存在し続けることを願っている。(黒木大亮)
※優秀賞受賞「屋根のある建築作品コンテスト2019」タニタハウジング主催
Category : 住宅 /
- 設計
- lyhty(リュフト)黒木 大亮
- 施工
- 直営分離発注方式
- 大工
- たにもとけんちく工房
- 左官
- 梶原組
- 電気
- 寺田電機商会
- 設備
- ツルタ住設
- 塗装
- 河野塗装
- 木材
- ニチリンマテリアル
- 照明
- タイガランプ
- 板金
- 雅工業
- 鉄鋼
- カジヤ金属工藝
- 基礎
- 福田工務店
- クライアント
- 30代夫婦
- 所在地
- 兵庫県赤穂市
- 用途
- 住居
- 工事種別
- 新築
- 構造
- 木造 二階建て
- 敷地面積
- 216.27(約65坪)
- 延床面積
- 94.81 (約29坪)
- 1階床面積
- 81.57 (約25坪)
- 2階床面積
- 13.24 (約4坪)
- 竣工年月
- 2019年3月
- 撮影
- 笹倉洋平(笹の倉舎)
- お花
- 小谷慶子(Alley)
- 植栽
- リビングソイル研究所(西山)